パラオからの便り

PSA(パラオセーリング協会)ユース・プログラムの2代目専任コーチとしてパラオに赴任した神谷仁から報告が入りました。(2026/2/3)

昨年12月9日にパラオへ派遣され、未知の環境の中でのセーリング活動が始まった。現在、パラオでの生活にも少しずつ慣れてきたとはいえ、思わぬ出来事に日々振り回されることも少なくない。

例えば、先日一番驚いたのはアリの大量発生だ。ある日、ふと部屋の隅を見ると、信じられないくらいのアリが行列を作っていた。行列を辿ってみると、どうやらソファーの下が発生源だったらしく、慌ててソファーを撤去。さらに、キッチンの小さな割れ目にセメントを詰めて、これ以上の侵入を防ぐことにした。床に米粒一つでも落とすとアリの餌食となってしまうので、食べこぼしには四六時中センシティブになっている。

その一方で、生活の中で起きる“謎現象”も多い。夜になると、一部屋の一角が水浸しになることがある。理由はよく分からない。下の階の冷蔵庫の湿気?それとも建物の構造? とにかく、とりあえずタオルを敷いて放置している。
さらに、温水の出ないシャワーにもすっかり慣れてしまった。初めのころは大家さんに温水が出るように修理を頼んでいたが、今では温水がなくても問題ないと思えるようになった。というよりパラオに温水があるということを忘れてしまっている。

このような日常の中で改めて感じるのは、パラオの人々の生き方だ。クラブ活動やヨットの練習においても、無理強いせず楽しむことを大切にしている。南国らしいゆったりとした雰囲気の中で、自分も肩の力を抜き、自然体で取り組める。この感覚は、日本で経験してきた「競争中心のクラブ」とは大きく異なる。もちろん、練習では安全や技術はしっかり守るが、それ以上に「楽しむこと」を優先する雰囲気もある。最初は慣れない部分もあったが、同時に心地よさも感じられる。

活動としては毎週末の土日を中心に練習を行っている。参加者は全体でおよそ15人ほど。土曜日は4人、日曜日は11人と、日によって人数や雰囲気は大きく異なる。私自身、コーチという立場でヨットを教えるのは今回が初めてであり、毎回が手探りの連続だ。日本では選手としてヨットに関わってきたものの、「教える側」として責任をもって携わることへの緊張感は、毎回の練習で強く感じている。

まだ活動が始まったばかりで慣れないことばかりだが、とにかく安全第一で、この地でセーリングに携わる意味を考えながら、パラオの海と向き合う時間を大切にしていきたい。(神谷仁)