悠パラ日記【28】練習の成果やいかに

2024/07/17 仙田悠人

日本遠征

選抜レースで選ばれたパラオの7人のジュニア・セーラーと共に7月2日〜7月10日の期間を日本で過ごしました。


前半の4日間(7/3~7/6)は横浜ベイサイドマリーナ(YBM)に隣接する海面を利用させていただいて、練習の日々でした。また、この練習日には艇の整備方法や風向の見方など操船技術だけでなく維持管理方法や戦術の立て方等を子供達は学びました。お昼はYBM内のちりとてちんで美味しいご飯を毎日お世話になりました。

7月7日はいよいよ「第37回 横浜港ボート天国ヨットレース」です。レースには日本のセーラー20人とパラオの子供達7人の合計27人が集まりました。日本のセーラーが少し強そうに見えたのでしょうか、パラオサイドは緊張して涙が出てしまう子もいました。とはいえ、この一年の彼らの成長は素晴らしく、自分を信じるようにとメッセージを個別で言い渡して勇気づけ、コーチができることは終わりです。がんばれ!

30艇近くがエントリーするレースで走るのは初めてという子も含め、全員が緊張の面持ちで出艇していきました。また、大幅なマーク位置変更もあったので戸惑いがうかがえるパラオセーラー達でしたが、レースの回数を重ねるごとにスタートを攻めることができたり、日本のセーラーが自身のコースを描いている姿を学んだりと現場で学ぶことで自ら改善の様子を見せてくれました。
今回は全員が全レースを無事に完走し、ゴール出来なかった去年の悔しい結果から著しい成長を見せてくれてコーチとしては一安心です。さらには特殊な事情で先頭集団と競る様子を見せた子は、4位を保ちゴール。スピード勝負ではトップ艇団に負けない走りをしていることを証明してくれました。安定して中盤あたりを確保する子もおりまして、コーチとしてはプラスアルファの嬉しい結果でした。

今回のレースで一番嬉しかったのは、パラオチームの中の成績がふるわずいつも自信なさげに練習している子が一番を獲得したことです。本人はあまり実感が湧いていなかった様子でしたが、成長期の彼が今回得たセーリングでの成功体験が起爆剤となって後の人生に良い影響を与えるとすれば、セーリングを経験した大きな意義と言えるのではないでしょうか。

ディズニーランド

7月8日。レースまで練習を頑張ってくれたご褒美ということで、JPYSC(日本パラオ青少年セーリングクラブ)様よりディズニーランドへのチケットが子供達全員に配られました。セーリングの経験が吹っ飛ぶかのようなはしゃぎっぷりで全力で楽しむ様子をみるのは、我々大人が感じることができる特権的な幸せだなと思いました。

笹川平和財団表敬訪問

7月9日。東京は虎ノ門に位置する笹川平和財団様のオフィスにて、JPYSC、我々パラオセーリングアソシエーション(PSA)の活動を紹介させて頂きました。その後には今年3月に帆船みらいへに乗って横浜→パラオに来た子供達が自らの経験を報告する「Pacific Island Nations Weeks(Day 2)」に出席しました。午後の部では矢口あやはさんによるPSAメンバーに対しての公開インタビューがなされました。子供のうちに、何が何だかわからなくともこのような国際的な会議に出席することができる子供達は羨ましい限りです…。

スポーツチャレンジの日

パラオに戻り、7月12日と13日はパラオの教育省とオリンピック委員会が共同主催したスポーツチャレンジの日で、我々セーリングにも5人の子供達が参加してくれました。難しい説明よりも、自分でとにかくセーリングを!ということですぐに海に。

タックと少しの知識を教えただけにも関わらず、見事な乗りこなし方をするパラオの子供達に改めてパラオ人のポテンシャルを感じずにはいられませんでした。
セーリング中に、「やっと自分の一番好きなスポーツを見つけた!」といってくれる子も……。
ぜひPSAに入って、将来有望なそのDNAをオリンピックで生かしてほしいところです。