悠パラ日記【36】Sonsorol Cultural Note ③

(2024/09/11)仙田悠人

食文化

ソンソロール語話者が自宅にいて、外にいる方へ挨拶する場合には”Bito dibe mangau”と言います。これは英語でHello!の役割に相当するとされますが、英訳するとCome, let’s eat!!,日本語訳すれば「きて!お茶しましょう!」といったところでしょうか?今回は食の文化というフレームで彼らの理解を図っていきたいと思います。パラオとは少し違う生活がそこにはありました。

Sonsorolの人々にとって、食事の共有は重要な社会的活動であり、家族やコミュニティの絆を強める要素になっています。食事に招待することは、社会的なつながりを築く機会とされており、招待を拒否することは無礼とみなされる可能さえあるのです。これはパラオ本島でも同じように捉えられることがあるようです。食事を一緒に作り、シェアすることは、社会的なネットワークを形成する重要な要素であり、これにより家族やコミュニティの団結が強化されます。僕も繋がりが強くなるのは食事の時間であることを実感しています。酒を交わす、同じ釜の飯を食うといったような概念は人類共通のものであることを伺えます。

パラオの本島の人々とSonsorolの人々の間では、食習慣の認識の違いが時折対立を引き起こすことがあったようです。特に、Sonsorolの人々が「生で」海ガメを食べる習慣は、一昔前のパラオ人からは受け入れられていませんでした。高齢のSonsorol人は当時「生でカメを食べる者たち」と揶揄されていた記憶は消えていないようです。しかし、現在では「サシミ」という名前でパラオ本島・南西諸島とパラオ共和国全土で人気の食べ物とされています。
ある出来事がきっかけで1994年にパラオの人々は南西諸島の人々と交流を深めるようになりました。この話はスポーツの話にもなるので、また別の章で。

Sonsorolの伝統的な食材には、タロイモ(woto)、バナナ(fadolo)、パンノキ(usuhae)、魚(ih)、陸ガニ(lohum)、その他の海産物、そして海ガメ(woru)があります。海産物は主にモリで漁をして捕獲されますが、海ガメは素手で掴んで漁をするそうです。
パンノキの実、は焼いて食べました。栗のような食感で味はほのかな甘味があるという感じでした。足が早いのですぐに食べるようにとのことです。タロ芋は少しパサつきを感じるジャガイモのような感じです。

ホイルに包んで焼き上げたパンノキの実

ウミガメは中でも特別な食材と見なされています。伝統的に、漁師たちは捕まえた魚をすべての家族で分け合うようになっています。カメを捕まえてきた日には、島の中で必ず収穫を祝う小さな会が行われるそうです。今日でも、この伝統はSonsorol島の人々によって続けられています。
ウミガメは調理の仕方で生臭さが全く変わります。部位によって食感は違い、ヒレの筋肉はステーキで食べましたが鶏の親鳥ほどのかみごたえがあります。しかし、先端の部分はコラーゲンたっぷりでプルプルです。カメの血煮込み(血を使って身や内臓を煮込む)は名前とはかけ離れたおいしさでした!

冷凍庫の中にビールと無造作に一緒に入っているのはカメの身

Sonsorolの女性と子供たちは通常漁に出ることはなく、代わりに貝や海藻、ナマコを集めます。伝統的に、女性を漁に連れて行くことは縁起が悪いとされていたようですが、Palauではこの伝統が少しずつ変わりつつあります。

Sonsorolのお酒はココナッツに穴を開けてそのまま放置して発酵させたものです。どの国でもお酒というのはあるんですね…。いつかトライしてみたいものです!!

今週もご一読ありがとうございました!!