Day03(2024.04.02):間もなくレースは後半戦へ。2艇は快調に北上中

3月31日にパラオ・コロール島沖をスタートし、1,229海里先の沖縄本島・与那原沖のフィニッシュラインを目指す〈Zero〉と〈1122トレッキー〉の2艇。スタートから3日目を迎えた今日4月2日も、快調なセーリングが続いています。

 


古野電気さん提供の「ichidake」のトラッキングサイトを見ると、23:00ごろの時点で、両艇のフィニッシュラインまでの残航距離は、〈1122トレッキー〉が679海里(4/2 23:24:15現在)、〈Zero〉が728海里(4/2 23:05:55現在)と、約2日半(約60時間)で500海里以上を両艇が走ったことになります。
〈1122トレッキー〉のデイラン(=1日24時間の航走距離)は約220海里、〈Zero〉は約200海里。上の図の船速トレンドのグラフを見てもお分かりの通り、〈1122トレッキー〉(ピンク)は平均9ノット以上、〈Zero〉(緑)は平均8ノット以上の速度で快調に走っていることがうかがえます。

 

ところで、本レースではレース艇に1日1回のロールコール(定時連絡)が義務付けられています。
でも、遠く離れた外洋では携帯電話が使えるわけもなし。そこで、今回はアイコムさん提供の衛星トランシーバー「IC-SAT100」をレース艇に貸与し、ロールコール用の機器として活用しています。
これは衛星電話ではなく、衛星通信を用いた”トランシーバー”であることが重要なポイント。電話が1対1の通信であるのに対し、こちらの機器は衛星通信を用いて国際VHFなどの無線機器と同じように、”1→複数”(上の図参照)での通信形態を実現しています。しかも、イリジウム衛星通信を用いているので、全世界で通信することが可能になっているのです。

 


ロールコール時には、当該艇と横浜の陸上本部とで通信を実施。各艇は、現在位置や海況、乗員や艇体の状態を報告する義務が課せられています。
これ、もちろん衛星通信を使えばメールもできますし、衛星電話を使えば1対1の通信も可能。しかし、この「同時多報性」のある無線を活用することで、例えば〈1122トレッキー〉と陸上本部との通信(会話)を、〈Zero〉も同時に聴いているわけです。
ライバルの位置情報を海図に書き込み、自艇との位置関係を把握。そこから戦略を練っていく・・・もちろん各艇の安否確認という主たる意義はあるわけですが、それとは別に、まさに外洋レースの醍醐味の一つが、このロールコールにあるといっても過言ではありません。

実際にロールコールを担当するレース委員会のスタッフによれば、「この無線機器はとにかく音声が明瞭」とのこと。往路の日本-パラオ親善ヨットレースでは台風並みの嵐に見舞われたわけですが、そんなときでも明瞭に音声を聞き取ることができたというのは、すばらしいことかと思います。

またメールと違って、「声」が聞こえるというのも大きなポイント。同じ会話でも、その声色から状況をうかがい知ることができるということを、あらためて実感しました。

上写真2点は、日本-パラオ親善ヨットレースのレース中に、〈1122トレッキー〉のオーナー/スキッパーである新田 肇さんがロールコールをする様子(写真提供=1122トレッキー)。強風時も、ドジャーの下や船内にいれば、雑音が入ることもなくクリアな音声での通信が実現しました。これは、外洋レースを実施するにあたって、なにより「安心」を実現するものであることは言うまでもありません。

ちなみに今朝のロールコール時、〈1122トレッキー〉からは「風向56°、風速19ノット、波高3.0メートル、艇速10ノット、乗員・艇体に異常なし」という報告がありました。また、「今日は周囲に多数の漁船が浮かぶ中を走っている」とのことでした。フィリピンの東方沖という位置にありますから、漁船が多くいるのかもしれませんね。

 

さて、明日4月3日にも、レースは後半戦に突入。このまま良い風が続いて、このままのスピードでフィニッシュラインになだれ込むのか?それとも、後半戦は風が落ちて神経戦に突入するのか?
ここからますます見逃せない戦いが続きます。

(文=実行委員会広報)