悠パラ日記【21】数年に一度の干ばつ

(2024/04/22)仙田悠人

パラオは当時も今も干ばつレベル1で水が不足している状況です。原因は、エルニーニョ現象による降雨量の減少によるものだそうです。
他国から容易に水の補給ができない島国パラオにとって貯水量の減少は深刻な問題となります。日本よりも国全体が節水を意識している気がしています。その証拠に、節水を心がけようという旨の会話を近所の方々と数回ほど話す機会がありました。

Palau Sailing Association(以下PSA)としても、節水は大きな問題となります。なぜならば、ヨットを使用した後には大量の水道水を利用して塩を洗い流すからです。節水を心がけている今のパラオにとって、セーリングは不要不急の活動なのか? と思われてもおかしくありません。何の断りもなくこれまで通り水道水を使用すれば、PSAの活動の評判が悪くなることは不可避でした。そこでPSAでミーティングを開き、干ばつ中の練習について協議をしました。どのように練習後の塩だし作業を代替するのかが主なテーマでした。

まず、干ばつがいつ終わるのかわからないため、練習を完全に停止することは得策でないと考えられました。
そこで、塩だし用に雨水を貯めておき、スポンジや霧吹きを利用して金属部分の海水を洗い流すという方法を取ることにしました。
また、練習で使用する艇数と参加する人数を絞ることによっても使用する水道水の量を減らすようにしました。
これらの対策をFacebookで流すことによって、水道水を使用していないことの周知もしました。

上記の対策を踏まえて、4/20(土)の出艇はいつもは8艇で練習が行われるところを4艇で行いました。いつもよりも少ない艇数で練習をすると少し寂しい感じがしましたが、子供達は1週間分のセーリング欲を解放するかのように楽しそうに練習に取り組んでくれました!

この頃、子供たちの中で次のステップに進むことができる臨界点まで到達したような子がちらほらと出てきました。
昨年の3月17日に僕がパラオに初めて訪れてからはや1年が経過します。この1年で彼らはたくさんの経験を積んできました。当然のように、彼らはただ強い風で出艇できるだけでは満足できないレベルに到達しているのでした。どんどん成長してくれる彼らの成長を間近で見れるのはとても嬉しいことです。

土曜日の練習のうちに、干ばつ中ながら水道を使っても良い旨のお話がきました。鶴の一声で水道水を再び利用することができるということで、我々の協議は杞憂に終わってしまいました。しかし、節水を心がけることには一パラオ在住者として必要なことです。
そこで4/21(日)は通常通りの人数で練習をしました。ロールタックという少し難しい方向転換の技術を練習に取り入れ、レベルを上げた練習に取り組んでもらいました。風が強くない時でも走れるセーラーに育って欲しいところです。