Daily Report 3 2020/1/1
あけましておめでとうございます。
「日本-パラオ親善ヨットレース」はスタートから3日が経ち、1月1日朝8時のロールコールのポジションはこちら。
予報通り、風は西から北西に振れ、最も東よりから突っ走る〈チームパラオ・ミニー〉がトップに立ちました。
北西の風というとリーチング。2つの船体を繋いだカタマランである〈チームパラオ・ミニー〉にとって得意とする風です。逆にいえば、苦手であろうアップウインドの間にこの位置をキープしていたのがすごいです。
アップウインドといっても、風軸はラムラインより西に振れており、右舷から風を受けて走った方がフィニッシュにより近い「スターボ・ロング」と呼ばれる状態だったはずで、ここでそのまま左に(東に)伸ばしたと思われます。
〈テティス4〉も同様に。ただモノハル(単胴)の〈テティス4〉の方がより上り角度が良かった、と。
そして、風が横に周り、〈チームパラオ・ミニー〉が俄然スピードアップした、と。
カタマラン、特に〈チームパラオ・ミニー〉のようなクルージング・カタマランは外洋レースにはほとんで出てこなかったので、通常のモノハル艇との性能差は未知数なのです。
正直言うと、当初、「沖縄からカタマランが1艇エントリーする。クルーはパラオ人」と聞いたときは、ダイジョブかな?と思いました。クルージング・カタマランなんて外洋を走るようにはできていないんじゃないか? だいたい乗員のヨット経験はどのくらいあるのかな? と。
9月に横浜で行われた、「Safety and Sea Survival Course」で、
初めて渡真利オーナーにお目にかかりお話を伺ったところ、いやいや潮っけ溢れる方で。そもそもこの船、マレーシアのペナンに置いてあったものを渡真利オーナーが購入。そのままタイのプーケットまで走って行き、「キングズカップ」に出場。レース後は、やはり自力で沖縄まで回航して帰ったものです。
今回も、沖縄から横浜まで、冬の日本の海を自ら回航してきました。
「いいシェークダウンになりましたよ。やっぱり41ftだとちょっと小さい。45ftは欲しいなぁと思うけど」
と、かなり吹かれた回航の様子をにこやかに淡々と語る渡真利オーナー。
ああ、こういう人を海人(うみんちゅ)っていうのかな、と。
沖縄宮古島で「24°NORTH」というダイビングショップを経営している渡真利オーナー。
ダイビングといえば、今回のフィニッシュ地点であるパラオも主な産業は観光業、それもダイビングツアーです。今回乗り組むパラオの若者達も、みなダイビングでも渡真利オーナーに鍛えられた “南の海人” ってことですね。
チームパラオ・ミニー / Team Palau Minnie
艇種:ラグーン410
ホームポート:平良港(沖縄県宮古島市)
艇長 渡真利将博 70歳 沖縄県宮古島市
副艇長 ベイエス・ニューマン 49歳
ナビゲータ 伊藤豊 64歳 神奈川県逗子市
ルールル・オースーベダリン26歳 Ngermid, Koror
ウルセイアック・リウム 30歳
エディロイ・セックリー 27歳
今回のレースでは、7艇50人の参加者中女性はわずか2名。〈チームパラオ・ミニー〉に乗り組むエディロイ・セックリ-さんがその1人。
ハワイ大学卒業後、現在は立命館大学大学院で政策科学(Policy Science)を専攻する才媛です。「第5回 日本-パラオ親善ヨットレース」の頃には、パラオ初の女性大統領として国旗を手渡す側になっていたりして。
一方、男性クルーは3人とも奥様は日本人。住所はどこなのか、聞いたのですが良く分かりませんでした。すいません。
と、そんな”南の海人(うみんちゅー)” が駆る〈チームパラオ・ミニー〉、爆走中です。
さてこの後、風はさらに北に回る予想です。風が振れるというよりも、艇団が北風の海域に入るという感じか。
ここからさらに風は東へ回る予報です。
これも99%あたるでしょうが、問題はどのタイミングで変わっていくか、風速は? といったあたり。
これはなんとも言えません。
基本的に、
この風の振れだと、艇団西寄りから追い上げる〈アルタイル3〉や〈1122トレッキー〉も前に出てくるはず。風速も西側の方が良さそうでもあります。
さあ、またまた面白くなってきそうですゾ。
下田に避航していた〈翔鴎〉も走り始めたようです。
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また、伴走する〈みらいへ〉も南下を始めています。
まだ、記事をアップする元気はないのかな?
こちらも、ガンバレ!
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注:この「Daily Report」は、「日本-パラオ親善ヨットレース」実行委員会が公式に配信する情報ではありません。高槻和宏個人の責任で配信するレースレポートです。
公式情報は、公式掲示板に公示されます。