Daily Report 5 2020/1/3
1月3日 朝8時のロールコールポジションはこちら。
昨夜は風が弱かったようで、デイラン(1/2 0800 – 1/3 0800の航走距離)は伸びていません。
一番走った〈アルタイル3〉で153マイル。
これは、FURUNOのトラッキング画面にある残航から計算したものです。軽風のダウンウインドなので、実際に走った距離よりはだいぶ短くなっていると思いますが、目的地への接近速度的にはこの数字の方が現実的かと。
いや、これでデイラン153マイルなら、結構走っているほうか。
航跡をアップで見るとこんな感じ。
〈アルタイル3〉が先頭に躍り出ました。
ラムライン(最短コース)付近を風の振れに合わせてジャイビングしながら南下していると思われます。
〈テティス4〉もラムラインに寄せてきて、〈アルタイル3〉の右(艇上から見て)に出ました。
今朝は風速も上がり、各艇、艇速も増しています。この後、風は北から時計回りに北東に振りきる予想なので、それに備えて西に出ておきたい、ということでしょうか。
ここでのダウンウインド、ほんと大事ですよ。
こちらで計算した1/3 0800時点での暫定修正順位は、
1位〈テティス4〉(19.9)
2位〈アルタイル3〉(17.8)
3位〈チームパラオ・ミニー〉(15.7)
4位〈1122トレッキー〉(9.8)
5位〈ラッキーレディ VII〉(0.8)
6位〈マンデーナイト〉(0.0)
7位〈翔鴎〉(-26.4)
と出ました。
数字的にはちょっと変ですねぇ。〈アルタイル3〉と〈テティス4〉の修正差はもっと詰まっているはずなので。
すいません。この後、計算方法を再考します。
と、ここで、西側大外から緑の〈1122トレッキー〉が伸びてきています。
この航跡からすると、昨日から、14時、20時、23時、05時頃と、ジャイビングを繰り返しながらラムラインに寄せてきているようで、先頭の〈アルタイル3〉に対して、緯度にして1度24分、残航で68マイルまで迫っています。
〈1122トレッキー〉はスタート後、 “荒天予報の避航のため” 那智勝浦港に入港していました。
公式には、12/31 06:25 から、同日10:45までとなっていますから、4時間20分。実際には、港へのアプローチなどを入れたら5時間~6時間はロスしているわけですから、距離にすると40マイルくらいになりますか。
最初から勝浦に入るつもりで西に伸ばした訳ではないでしょうから。この西航は黒潮を利用するため、と思われます。
実際、うまく黒潮の反流を使って、南下してきているようです。
いやーあ、でも勝浦での5時間はもったいないなぁ……。
〈1122トレッキー〉は、〈テティス4〉と同じ相模湾でも諸磯系で、「沖縄-東海ヨットレース2016」2位、「小笠原レース2017」2位、「沖縄-東海ヨットレース2018」2位。そして、昨年の「小笠原レース 2019」で優勝。と常に上位に名を連ねる外洋レーサーです。
新田肇オーナーは今回、参加艇のオーナー/スキッパーであると同時に「日本-パラオ親善ヨットレース」の仕掛け人でもあります。
こちら、スタートの前夜祭。新田オーナー1人だけスーツ姿ですが、この時点ではまだ参加艇のオーナー/スキッパーというより、大会事務局長として対応しているところ。
この大会はヨットレースのみならず、パラオの子供たちにヨットを教えたり、マイクロプラスチックの採集研究に協力したり……そうそう〈1122トレッキー〉にはマイクロプラスチック採集専用の実験機器が搭載されています。虫取り網みたいので掬うだけかと思っていたら、なにやらものものしいのです。
と、普通のヨットレース以上に大忙しの大イベントを “新田事務局長” として飛び回っていたわけで、自艇のレース準備──スタートラインに立つまでの膨大な作業は主に乗員達で行ってきました。
そう考えると、いやいや、あのスタートは感慨深いものがあったでしょう。
1122トレッキー / 1122 TREKKEE
セールナンバー:JPN 1122
艇種:ミュワー40カスタム
ホームポート:油壺京急マリーナ(神奈川県三浦市)
艇長 新田肇 63歳 神奈川県三浦市
副艇長 野田宗之佐 47歳 神奈川県鎌倉市
ナビゲータ栗原伸太郎 48歳 東京都渋谷区
芳原篤 65歳 神奈川県横浜市
若田部洋 61歳 神奈川県横須賀市
岩見顕久 43歳 神奈川県横須賀市
大山卓宏 50歳 神奈川県鎌倉市
山下孝一 60歳 東京都青梅市
城山洋太 35歳 神奈川県横浜市
と、いつものメンバーで9人乗り。
ワッチは3人づつ3班に分けて、1班はデッキで操船。1人が舵を持ち、2人でセールのトリム。1班は完全にオフで、残る1班は、セールチェンジなどで出てくる待機組。
2時間交代で、何もなければ2時間オンの4時間オフ。セールチェンジ等の作業が入ると1班は途中でオンになりますが、残る1班はよほどのことがない限り完全に休める。と、これまた多少変則的なワッチシステムですが、なかなか良さそう。これがいつものスタイルというあたり、さすが外洋レース慣れしたチームです。
で、なんでまた勝浦……。
この後、北緯25度付近は、またちょっと風がソフトになるかも。
北緯20度くらいまでいけば、安定した貿易風帯に入りそうです。
こりゃ、今日1日、目が離せませんぞ。
注:この「Daily Report」は、「日本-パラオ親善ヨットレース」実行委員会が公式に配信する情報ではありません。高槻和宏個人の責任で配信するレースレポートです。
公式情報は、公式掲示板に公示されます。
[race-28] は、ここまで。
伴走している〈みらいへ〉からは、こんなたよりが届いています。
[Day 4]昨晩からのシケでセイルが破損し、未明から作業をしているうちに初日の出を迎えました。荒れた海をものともせず、マストクライムをする@TallshipMiraieクルーの皆さんに拍手!(Sana)#海洋プラ #ヨットレース #science #SDG5 #SDG14 #SDG17 https://t.co/2YSL9002z2 @umipura_girl @unepwcmc pic.twitter.com/30LIrrhKZn
— JAMSTEC 海洋研究開発機構 (@JAMSTEC_PR) January 1, 2020