海洋民族の血がさわぐ

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今から38年前、日本を出てオーストラリアに向かう途中、サタワル島の近海で帆走カヌーに会ったという話は前に書きました。

帆走カヌーで太平洋広く移住していった海洋民族であるポリネシア人やミクロネシア人も、西欧人が島々にたどり着いた16世紀には、すでに外洋渡航をしていなかった、と。

それが、カロリン諸島のサタワル島あたりでは、38年前にはまだ帆走という文化が残っていたということになります。

こちらパラオでも、伝統的なセーリング・カタマランを復原。Vaka Motuは「島舟(しまぶね)」みたいな意味のもよう。The Okeanosというプロジェクトで、無風時用にエンジンも装備。実際に人や物を運ぶ海運に使っているようです。
喫水が浅いから使い勝手がいいのかも。


The Okeanosについては改めてお伝えしますが、
6月2日。そんなパラオに、日本から20隻のOPディンギーが届きました。

これは、日本-パラオ親善ヨットレース実行委員会が、パラオの子供たちにもヨットを楽しんでほしいという目的のために、パラオ共和国政府に向けて寄贈したもの。
日本各地のジュニアヨットクラブなどから提供された中古艇を、ボランティアの手によってきれいに整備しました。
本事業は、「Sports for Tomorrow」の青少年育成事業にも採択され、インストラクターの派遣など、来年以降も継続的に支援が行われることが決まっています。

このヨットを使って、パラオの社会文化省(Ministry of Community & Culture Affairs)のBureau of Youth Applied Arts and Careerの所管として、ジュニアを対象としたヨットスクールが始まりました。
Bureau of Youth Applied Arts and Careerっていうことは、「青年応用美術学習局」って感じでしょうか?

日本からは、神奈川県セーリング連盟の山本 勤さん(76歳)、横浜ベイサイドマリーナの齋藤 匠さん(28歳)の2人がパラオ入りし、スクール開校の準備に明け暮れました。


6月8日にはコロール島のミューズ飛行場跡地でオープニングセレモニーが行われ、パラオオリンピック協会のJyoo Tiltonさんほか、挨拶に訪れたメレンゲサウ大統領も3歳のお孫さんを連れて来場。
現地にて参加を募ったところ、エントリー希望のあった子供たち約15名(6歳~12歳)が参加し、うち5名が、まずは体験乗船しました。

艇は、コロール島にある大統領府の裏に設置されたコンテナに保管。
練習をするときには、ここから車で5分ほどのビーチまでトラックで運びます。地名は……特に無いもよう。

6月15日には、体調不良で帰国した齋藤 匠さんの代わりに、同じく横浜ベイサイドマリーナの鈴木大翔さん(25歳)がインストラクターとしてパラオ入り。
6月28日までのfirst termが終わり、山本さんと鈴木さんは帰国しています。

次回は、鈴木大翔さんからの現地レポートをお送りします。
なんかもう、あっという間に1人で乗りこなしているもよう。

さすが、海洋民族であるパラオの血を受け継ぐ子供たちです。

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