プラスチックは永遠に

[plastics-01]

「日本-パラオ親善ヨットレース」(12/29:横浜スタート)では、伴走する帆船〈みらいへ〉と参加艇の1艇で、レース中に当該海域の海水を採取しマイクロプラスチックがどのくらい含まれているかの調査に協力することになっています。

で、マイクロプラスチックって?

ということで、7月30日、東京新橋のヤクルトホールで、
「脱プラスチックオーシャン ~海洋科学者と一緒に考えよう~」
という講演会が開催されました。

主催は、国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)。
今回の「パラオレース」での海水採取は、こちらJAMSTECの調査に協力するもので、新田肇事務局長自らパネルディスカッションに登壇していました。

ヨットレースでは普通の船舶が通らないような海域も走るので、海水サンプルの採集に意味があるわけです。
そういえば、「Volvo Ocean Race 2018-19」でもやってましたね。あれと同じ調査機器を搭載するそうです。

で、結局このマイクロプラスチック問題とは、なんなのか?

ちょっと調べてみました。
これがなかなか複雑なお話で……。講演会の内容はまだこの先。

まずはワタクシが、科学者ではなく、マリンジャーナリストとしてレポートしてみます。


スーパーのレジ袋やゴミ袋は、ポリ袋とかビニール袋などと呼ばれる。
ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリマーでできているから「ポリ袋」。
昔はポリ塩化ビニルも使われていたようで、そこからビニール袋なんて呼ばれていたんだろうけど、今はポリエチレン製がほとんど。
畑にあるビニールハウスやビニール傘も同様に、ポリエチレンに変わっているもよう。
でも、いまだにビニール○○と呼ばれることも多いかと。

一方、英語だとポリ袋はプラスチックバッグ(plastic bag)。ビニールテープはプラスチックテープ(plastic tape)。
英語圏の国では「ビニテ」じゃまず通じませんね。そもそもビニール(vinyl)の発音はカタカナで書くと「バイナル」って感じだし。

と、
日本語と英語では「プラスチック」という言葉に対するイメージが違うようで、我が国ではプラモデルのような硬いもののイメージだけど、英語では「形が変わるもの(可塑性)」をイメージするみたい。「プラスチック爆薬」も組成は上記ポリ○○の仲間ではなく、粘土のように形を変えられる爆薬という意味。

で、ポリ袋もゴミになれば”プラごみ”と呼ばれるわけで、海外由来の問題提起としては、これらをまとめてプラスチックと表現するということで話を進めます。

ちなみに、プラモデルの材質はポリスチレン。発泡材を使って成型すると発泡スチロールになる。ポリ○○の種類は多く、それぞれ性質が異なる。
……とこのあたりは、我々ヨット乗りとしては知っておかなければならない知識でもあると思うので、そちらもそのうち。スペクトラとダイニーマはどう違うのか、とか、知りたいでしょ。


このプラスチック、錆びたり腐ったりしないところがメリットだけど、それだけに、これが海に流れ出ると困ったゴミとなる。
プラスチック=ポリマー(重合体、高分子化合物)というものは、とんでもなく安定しているんだそうな。ワタクシ、化学者ではないので、聞き書きですが。

とはいえ、紫外線にあたれば脆くなり、波に揉まれればコナゴナにはなる。
ところが、どんなに細かく砕けても、プラスチックはプラスチックのまま。
燃やさない限り、分解されるまで数十年から数百年かかるという。ものによっては数千年単位、化石になると言う学者もいくるくらい。

この細かいプラスチック。直径5mm以下とか1mm以下とか、定義は研究者によって異なるようだけど、目に見えないくらい小さなつぶというか粉も含めてマイクロプラスチックと呼び、海洋汚染の最重要物件として、最近耳にすることが多くなった。

汚染は進んでいて、水道水や大気中にも含まれるという。
ペットボトル入りのミネラルウオーターの中にも、製造過程でマイクロプラスチックが含まれるという記事もあった。

じゃあ、人体にどういう害があるのか、海の生態系にどのような影響を与えるのか?
そのあたりは、実はまだ良く分かっていないようだ。

それでも、海に流れ出るプラごみは無ければ無い方が良いに決まっている。

じゃあ、我々はどうすればいいのか、どう考えればいいのか、

……というお話になります。 (続く)

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