懺悔の記

[plastics-03]

海のマイクロプラスチック問題、「The Plastic Ride」、

の続きです。

最初「Plastic Tide」として書き始めたんだけど、「The Plastic Tide」という海のマイクロプラスチック汚染について考えるキャンペーンがすでにありまして、
んじゃ1文字変えて、「The Plastic Ride」にしてみたしだい。

で、今見たら、「The Plastic Tide」「ellipsis elevating perspectives」に代わったもよう。

Plastic Rideの方も実はインドネシアで、PETボトルとバス・チケットを交換するというキャンペーンがすでにありまして。


それはまあ、おいといて。ワタシらはプラスチック製のヨットに乗って海に出ているわけで……やっぱ「The Plastic Ride」でいこう、と。で、第3話「懺悔の記」です。


実をいうとその昔、長距離航海のときには「しょんべん袋」と呼ぶ小さなビニール袋を用意していた。

ワッチ交代で目覚めると、まずはコンパニオンウエイの下あたりに寄りかかって、このビニール袋でイタス。小の方を。
コンパニオンウエイから顔を出しひょいと海に投げ捨て、ついでにワッチ中の乗員に「どうよ」などと声をかけ海況を確かめてからおもむろにカッパとハーネスを着込み、お菓子と飲み物をポケットに入れでデッキに出て、ハイ交代、と、そんな感じ。

ケシカランです。ほんと、すいません。

海を汚してはいけないという意識が無かったわけではないのです。ビールの空き缶には、早く沈むようにウインチハンドルで底に穴を空けてから捨ててたし。
レトルト食品は一切使わず、缶詰で。人参やジャガイモ、マメやホウレンソウの水煮の缶詰。ジャガイモなんかは生でも長持ちするけれど、調理に時間がかかりキャビン内が暑くなってしまう。水煮の缶詰なら火が通っているので調理はすぐ。最悪レンジが壊れてもそのまま食べられるし。

レトルト容器は使用後ベトベトで、1ヶ月近く艇内にとっておくのは嫌で。かといって、さすがにあれを海に捨ちゃまずいだろ。ということで積まなかった。

対して、ションベン袋は薄くて小さなペラペラのビニール袋なので、しばらくすれば溶けて無くなるだろうと……、だって元々石油──つまり大昔の微生物の死骸なんでしょ、と、気楽に考えていたのです。ほんと、すいません。

それほど、ビニール袋でイタスのは楽だった。

今でも、ヨーロッパのショートハンド長距離レーサーは、大の方を、ポリ袋を敷いたバケツでイタスそうな。で、ポリ袋毎海に捨てる、と。
それほど便利なのです。

この場合のポリ袋は、今では生分解するゴミ袋があるんだそうで、それを使うようだ。

とはいえ、通常の生分解ゴミ袋は、生ゴミを入れて土に埋めるという環境で分解するようにできていて、海水中は条件が違うので、また別のもよう。


日本では生ゴミは焼却するので、ゴミ袋はなにも生分解性のものでなくてもいいわけで、ほとんど話題にならないけれど。我々海で遊ぶ者にとっては、海中で生分解するプラスチックについては、知っておく必要がある。

今回この「The Plastic Ride」を書き始める元となった、
「脱プラスチックオーシャン ~海洋科学者と一緒に考えよう~」を主催した国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の加藤千明さんらのレポートがこちら。

「深海微生物による生分解性プラスチック PHBH の分解性試験」
»Click(pdf)

日本の企業である(株)カネカが開発した生分解性ポリマーPHBH™

について書かれた論文のようだけど、

論文自体はどこで読めるのか良く分かりませんが、、、。


このあたり、現在かなり研究を進めているようで、「普通のポリ袋を食べるバクテリアの存在」とか、「いやいや、プラスチックも分解するのです」など、いろいろな意見があるようなので、貼っておきます。




陸上のゴミをどう処理するかという問題は、立法や行政で考えていただくとして。
それとは別に、ワタシら海で遊ぶ者はプラスチックを全身にまとい海の上にいるようなもので、不可抗力でプラごみを海に流してしまうリスクがつきものだ。

ヨット1隻艇体放棄なんてしちゃったらもう、、、35ft艇でプラスチック成分が2000kgとすると、レジ袋(Mサイズ)1枚7gで 29万枚分。
1日1枚、トンビに取られたとして、795年分ですぞ。

なら、海に出るなよと言われちゃうと困るので、その前に自分達でシッカリ考えておかないと。

もちろん、今ではションベン袋は当然ながら、空き缶も何もいっさい海には捨てないようになっている。
長距離レースでは、フィニッシュ後に艇内にゴミが残っているかのチェックが入るし──もちろんゴミが残っていないとアウト。用いるフリーズドライの食品はサラサラしているので、空き袋は艇内に保存しておくのにも良い。
スピネーカーを縛っていたウールの毛糸まで使用禁止になったし、ヨット界の禁ごみ投棄対策は進んでいるのだ。

と、昔のしょんべん袋の罪を懺悔しつつ、この原稿書いてます。

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