Daily Report 2 2019/12/31

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「日本-パラオ親善ヨットレース」は、スタートから2日が過ぎようとしています。

参加7艇はかなり広範囲に広がりました。

12月31日午前02時59分。〈翔鴎〉が下田に避難入港。荒天予報を受けて、港内で待機中のようです。
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同12月31日、午前6時25分。〈1122トレッキー〉も荒天予報を受けて、こちらも那智勝浦港に入港。待機中。
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残る5艇はガンガン南へ向かっています。

12月31日、朝8時のロールコールのポジションはこちら。

12/31 0800 ECMWFの予測図から。大まかな風向を青矢印で足してます

同時刻のウインドマップに重ねてみました。

12/31(0800)の発表時点のものですが、ECMWFとGFSでは弱冠違うんですが、前を行く〈テティス4〉、〈チームパラオ・ミニー〉のポジションでは、まだ前線の南側で、強い南西の風が吹いているようです。

12/31 0800 こちらはGFSの予測図から

この時点での修正トップは、計算するまでもなく〈テティス4〉。TCF最小艇が、フリートのトップを走っているのですから。
右側の艇名リストは、TCFが小さい順に上から並べました。

〈テティス4〉は、日本の外洋ヨット界では古い歴史と伝統を誇る “小網代系” の本流を行くチームです。
かつて、「香港マニラレース」に出場した〈テティス2世〉から引き継ぐセルナンバー「JPN380」は伊達ではありません。

セールナンバーは、各艇固有の登録番号で、世界中で重複することが無いように管理されています。
艇を売買する場合は、そのままセールナンバーも付いていくことが多いのですが、ここはこだわりの「JPN380」と古い番号を引き継いでいます。

児玉萬平、伊東望、高木信之の3氏が共同オーナーの8人乗り。

ヨットは24時間走り続けます。
航海中はワッチ(watch)という当直制をとり順番に休みをとるのですが、〈テティス4〉のワッチシステムはちょっと変わっていて、ナビゲーターも兼ねる児玉スキッパーがワッチから外れ、他の7名のうち4人がデッキで操船にあたります。そこから1時間毎に1人抜けて1人入る。4時間デッキに出て3時間オフ。というもの。かなり変則的だと思いますが、これが「いつものスタイル」とのこと。いや、なかなか良さそうです。

「日本-パラオ親善ヨットレース」の後は、「ROLEX CHINA SEA RACE」(4/8:香港スタート、フィリピンフィニッシュ)に出場するため、香港まで回航するそうです。

〈テティス4〉 / Thetis 4
セールナンバー:JPN380
艇種:Beneteau First 40.7
ホームポート:小網代ヨットクラブ(神奈川県三浦市)

艇長 児玉萬平 70歳 東京都目黒区
副艇長 伊東望 58歳 東京都足立区
3 高木信之 53歳 東京都江東区
4 鈴木保夫 66歳 神奈川県三浦市
5 池田栄宏 65歳 神奈川県鎌倉市
6 鎌田智 56歳 千葉県千葉市
7 西田耕士 53歳 東京都台東区
8 堤亮介 48歳 東京都港区

歴戦の強者が、このド強風をいかに乗りきるか。ここが勝負所となりそうです。

テティスチーム。応援団のみなさんも交えて

この荒天は、東進する低気圧とそれに伴う前線によるものです。

さて、この後風は西に周り、
12月31日 1800には全域で北西の風に変わります。

12/31 1800の予測図と楕円はトップ艇団の予想位置

リーチングになりますが、33N以北では40ノット近く吹きそうです。
このくらいの風向だとスピードは出ますが、これが40ノットを越えるド強風ともなると、これがまた操船しにくいのです。
特に後続の〈マンデーナイト〉、〈ラッキーレディ VII〉のあたりではひときわ風が強そうで、試練はここからか。

さらに、年を越して、元旦にはすっかり落ち着きそうです。

1/1 1200の予想風

さて、避難中の〈1122トレッキー〉、〈翔鴎〉はどんなタイミングでレース復帰するのか。
それもまた難しい判断で……。

ということで、みなさま良いお年を。

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2020/1/1:追記 ———————-
記事中、「セールナンバーは……世界中で重複することが無いように管理されています。」などと書いてしまいましたが、特に法律で定められているわけではありません。セールに番号をつけるのは各艇の勝手です。
“JPN” から始まる番号は “日本艇” を意味するもので、日本セーリング連盟(JSAF)ではその登録艇にセールナンバーが重複することがないように管理していますが、レバノンのヨットが勝手に “JPN” のセールナンバーをつけてもいいわけで、 “JPN” と付いていれば日本艇、JSAF登録艇……とも限りません。
“JPN380” に深い意味をもたせたいと、話を盛ってしまいました。
お詫びして訂正します。

注:この「Daily Report」は、「日本-パラオ親善ヨットレース」実行委員会が公式に配信する情報ではありません。高槻和宏個人の責任で配信するレースレポートです。
公式情報は、公式掲示板に公示されます。